対馬海ごみ情報センター
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なぜ海ごみ問題に取り組むのか

目次

近年、対馬各地の海岸で、日本や近隣諸国で発生したごみが大量に漂着しており、生態系を含む海岸環境の悪化、美しい浜辺の喪失、海岸機能の低下、それらによる漁業への影響等が危倶されています。
これまで対馬市においては、環境省予算による複数の漂着ごみ関連の調査や回収事業のほか、地域の民間団体等による海岸清掃活動が実施されてきました。しかし、これらについては限定的な規模あるいは一時的な措置のために、海岸環境保全の観点から、十分な海岸清掃活動になっているとは言えず、対馬市の海岸漂着物対策にはさまざまな課題が残されています。
このような課題を解決するために、対馬市は平成27年3月に「対馬市海岸漂着物対策推進行動計画」を策定し、この行動計画の実践を通じて、対馬市の海岸環境保全を進め、将来世代に美しい対馬の海を引き継ぐことに寄与することとしています。
これを受け、対馬海ごみ情報センターは、「対馬市海岸漂着物対策推進行動計画」に基づいて「子どもたちが遊べる自然豊かな海岸」を取り戻すために、対馬の海ごみ対策として海ごみの調査やボランティアによる海岸清掃の募集・支援、海ごみ削減のための普及啓発・情報発信等を行うこととしました。

対馬に毎年多量に押し寄せる漂着ごみ

対馬市は、地理的に大陸に近く、対馬暖流や季節風の影響を受けて、毎年多量のごみが漂着します。昨年度の対馬市の報告(平成31年度 対馬市海岸漂着物モニタリング調査 報告書)によると、対馬には昨年1年間におよそ58,000m3のごみが漂着していると推定されました。
これは、25メートルプール160杯分※1、大型バス627台分※2に相当します。

※1 一般的な小学校の25mプールの容量540m3で計算。
※2 一般的な大型バス全長10m、車幅2.5m、車高3.7mで計算。

西側の海岸に漂着ごみが多い

出典:「環境省 平成29年度漂着ごみ対策総合検討業務 海洋ごみ学習用教材高校生用」

日本海の入り口付近に防波堤のように伸びる対馬の海岸には、黄海と東シナ海に接する中国と韓国、更には東南アジアや台湾から排出されたごみが多く漂着する、という現状があります。おそらく、対馬市は、日本沿岸の市町村うち、残念ながら最も漂着量の多い市の一つであると考えられます(環境省の「漂流・漂着ゴミに係る国内削減方策モデル調査総括検討会報告書(平成20年度)第1期モデル調査(7県11海岸)」を基に評価)。対馬市の海岸では、対馬暖流の流れが西側で強いこと、北東から南西寄りの風の頻度が高く、特に冬季は西寄りの風が卓越することから、対馬の西側の海岸に多くのごみが漂着する傾向があります。

漂着ごみの種類

平成31年度の海岸漂着物モニタリング調査では、漂着ごみの種類について、容量としては木材類(人工系、自然系)が6割、プラスチック類(ペットボトル、漁業用ブイを含む)が1割、発泡スチロール類が1割6分となっており、これらで全体の約9割を占めていました。また、ペットボトルや漁業用ブイ、発泡スチロール類を含む全プラスチック類は、全体の3割を超えています。平成31年度に対馬市では50年に一度といわれる大雨災害が発生し、これに伴って河川から流出したと考えられる自然系の流木・灌木の割合が多くなりました。

平成25〜29年度の対馬市による海岸漂着ごみの回収事業の結果では、発泡スチロールが3割5分程度、木材・角材が3割程度、プラスチック類が2割程度、漁網・ロープ類が1割弱、その他が1割未満という組成になっています。

「平成31年度 対馬市海岸漂着物モニタリング調査 報告会 資料」より


対馬市による海岸漂着ごみの回収事業の結果

対馬市の海岸漂着ごみの代表例

ブイ(発砲スチロール、プラスチック製) / ポリタンク / アナゴ漁用の筒とフタ / 漁網、ロープ類 / 流木と木材(ガスボンベ) / ペットボトル / 医療系廃棄物

漂着ごみの製造国割合

製造国を判別しやすい漂着ごみとしては、バーコードやラベルなどから調べることができるペットボトル等などが挙げられます。対馬市の海岸漂着物モニタリング調査では、次図のように韓国や中国の製品が多くを占めていましたが、日本製のものも一定の割合を占めていました。

「平成31年度 対馬市海岸漂着物モニタリング調査 報告会 資料」より

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