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ペットボトルの国別分類でわかる対馬に流れてきているごみの漂着源

ペットボトルの国別分類でわかる対馬に流れてきているごみの漂着源

 対馬にはたくさんの漂着ごみが流れてきます。発泡スチロール、プラスチックブイ、ペットボトル、漁具、漁網、食品包装、靴、カン、ビンなど色んなごみが流れてきます。

 そのごみがどこから流れてきているのかを特定するために、ごみを国別に分類します。しかし国別に分類しようとしても多くのごみは何も書かれてないので、どこの国か判別することができません。

 そのごみの中でも国別に分類しやすいものがあります。それがペットボトルです。

 ペットボトルにはラベル、キャップ、ボトルなどに文字が表記されているので、国を判別するためのヒントが多いです。中国や韓国などは文字に特徴があるので、漢字だけで書かれていたら中国、ハングル文字で書かれていたら韓国と特定しやすいです。

 しかしアルファベット表記のラベルは国を特定することができません。対馬には東南アジアからのごみも流れてくるので、フィリピン、ベトナム、インドネシア、タイ、マレーシアから流れてくるアルファベット表記のペットボトが海岸にあります。

 それを特定するときに役に立つのがバーコードです。バーコードの始めの3桁は国番号なので、国番号を調べればどこの国の製品かを特定することができます。

 例えば先ほどの東南アジアの国だとフィリピン480ベトナム893インドネシア899タイ885マレーシア955ですので、この国番号を頼りに判別しています。

インドネシアのペットボトル バーコードの先頭が899となっている。

http://www1.odn.ne.jp/haru/data-other/barcode_01.html

 ラベルや字が書かれているペットボトルならばこのように判断できますが、海に流れているペットボトルはラベルがはがれていたり、文字が消えてしまっているペットボトルが多く漂着してきます。そういうラベルなどの文字で判断できないペットボトルは形状やペットボトルのデザインで判断していきます。

 形状で判断する方法はラベルの付いてないペットボトルと同じ形のラベルの付いているペットボトルを探します。流れてくるペットボトルは同じメーカーのものがたくさんあります。ですので、国が特定できているペットボトルをヒントに文字が書いていないペットボトルも特定していきます。

ラベルがついてるペットボトルと同じ形状のペットボトル
どちらもラベルがついていないが片方にハングル文字が表記されていたことで韓国と特定

 こちらのペットボトルも字が薄くなってしまってどこの国かわからないですが、他に同じ形のペットボトルがたくさんあったので、その中にハングル文字がかかれているものがあり、韓国と特定することができました。

 対馬には韓国のペットボトルが多いので韓国のミネラルウォーターの人気ランキングを調べたところ対馬でよく見かけるものばかりでした。

韓国の人気ミネラルウォータートップ15

https://www.expatguidekorea.com/article/top-15-bottled-water-brands-in-korea.html

韓国で1番人気のミネラルウォーター

中国のミネラルウォーターの人気ランキングを調べるとランクインしている全てのペットボトルが対馬に漂着してきています。

中国のミネラルウォーターのシェア

 引用 https://marketingtochina.com/guide-market-brand-bottled-water-china/

1位のNongfu Springと2位のC’estbonは対馬の海岸にもたくさん落ちています。

農夫山泉(nongfu spring)のペットボトル 人気ランキング1位
Tingyiのペットボトル 康師傳

 このように韓国や中国のメーカーを知ることによって、ペットボトルの形を調べることができるので不明のペットボトルの数を減らしていくことができます。

 ペットボトルの国別分類をすることによって東南アジアから対馬にごみが流れてくることがわかりました。他にもUAEやトルコのものなどもあり、船から落とされたものなのではないかと推測できます。このように東南アジアから流れてきているようにペットボトルは軽くて丈夫なのでどこまでも流れていくことがわかります。

 対馬島内でペットボトルの国別分類を行うと、地点によって国の割合が変わってきます。11月12日に鶏知中学校の生徒と行った対馬の東に位置する根曽海岸でペットボトルの国別分類を行った際には日本のペットボトルが1番多く、11月14日に化学総連の方々と対馬の西に位置する上槻海岸でペットボトルの国別分類を行った際には、中国のペットボトルが1番多い結果となりました。

https://tsushima-mltic.com/report/%e9%b6%8f%e7%9f%a5%e4%b8%ad%e5%ad%a6%e6%a0%a1%e6%b5%b7%e5%b2%b8%e6%b8%85%e6%8e%83/

https://tsushima-mltic.com/report/%e5%8c%96%e5%ad%a6%e7%b7%8f%e9%80%a3%e6%b5%b7%e5%b2%b8%e6%b8%85%e6%8e%83/

 ペットボトルの国別分類を島内全体でやっていくことで、東西南北でどういう傾向があるのかを見つけることができます。今まではモニタリング調査のみでしたが、今後はボランティアでも毎回ペットボトルの国別分類を行い対馬全島の結果を集めていこうと思っています。

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