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2022(R4)年度対馬市海岸漂着物調査報告

2022(R4)年度対馬市海岸漂着物調査報告
目次

遅ればせながら、2022(R4)年度の対馬市海岸漂着物に関する調査報告をいたします。

なお、以下の内容は「令和4年度対馬市海岸漂着物モニタリング業務委託報告書」より一部抜粋のものとなります。

報告書の全容はこちらからご確認ください。 海ごみ関連資料

 注:表中の数値は四捨五入して計算しているため、表示した数値の計算結果と合計が一致しない場合がある。

年間再漂流量および年間蓄積量の推計

年間再漂流量を推計した結果、2022年1月下旬から2023年1月中旬までの年間再漂流量はおよそ35,000㎥となり、前述の年間漂着量およそ70,000㎥を50%程度下回る数量が算出された。

これは、青海、修理田、五根緒の昨年度の目視量と比較すると増加量がプラスになっているが、田ノ浜、上槻、ナイラの地点で昨年度の目視量と比較すると増加量はマイナスになっており許容量が未満となったことが原因だと推測される。

年間再漂流量および年間蓄積量の計算

年間再漂流量の計算(2022年度)
推計区域上島西海岸下島西海岸東海岸浅茅湾周辺合計
北側南側北側南側北側南側西側東側
(上島)(下島)
対象調査地点田ノ浜青海修理田浜上槻五根緒ナイラ浜ナイラ浜ナイラ浜
昨年度目視量
(冬季(
L/50m)
21,75011,3605,05014,70014,9003,6153,6153,615 
本年度目視量
(冬季(
L/50m)
2,35022,0509,9004,35079,0501,7701,7701,770 
目視枠の増加量
L/50m)
-19,40010,6904,850-10,35064,150-1,845-1,845-1,845 
回収量(年間合計)(容量:L)10,16655,22269,96013,81934,6445,9615,9615,961 
回収量-目視枠増加量(容量:L)29,56644,53265,11024,169-29,5077,8067,8067,806 
引き伸ばし係数0.5230.4730.1350.1040.6570.0480.7010.189 
年間再漂流量
(容量:㎥)
15,45221,0668,7662,517-19,3773785,4721,47935,752
年間漂着量
(容量:㎥)
5,31326,1229,4191,43922,7502884,1781,12970,640
年間蓄積量
(容量:
-10,1395,057653-1,07842,127-89-1,293-34934,888
年間再漂流率291%81%93%175%-85%131%131%131%51%

注:表中の数値は四捨五入して計算しているため、表示した数値の計算結果と合計が一致しない場合がある。

種類別回収量の過年度比較

過年度調査の種類別回収量と比較すると、2019年度の「流木、灌木(自然系)」の増加が顕著であったが、同様に2022年度の漂着量は増加している。「流木、灌木(自然系)」が増加する要因として一年を通して発生した豪雨や台風の影響、地形の変化、海流などの変化により変動するものであると考えられる。

種類別回収量の過年度比較

注:2014年度の重量データは不明であるため、「-」と表示した。

注:表中の数値は四捨五入して計算しているため、表示した数値の計算結果と合計が一致しない場合がある。

種類別回収量の過年度比較

調査時期別回収量の過年度比較

調査時期別の回収量について、秋季の回収量は昨年度より増加した。これは、2022年度は大型台風や線状降水帯と呼ばれる局地的な集中豪雨が発生し山林から河川を通じて海岸に漂着する自然木のほか、海岸の形状、波浪、風の影響による「流木、灌木(自然系)、人工木」の流失が多かったからであると考えられる。2022年度は、四季を通じて過年度と比較すると回収量は増加している。

調査時期別回収量の過年度比較

調査時期別回収量の過年度比較

地点別回収量の過年度比較

調査地点6地点全地点で昨年度の回収量を上回る調査結果となった。過年度比較から判明する回収量が増となった理由は、2019年度、2022年度は大型の台風や集中豪雨による災害で、流木・灌木の流失が多く発生した。特に2022年度はその影響を受け異常な漂着量の数値になったと考えられる。

調査地点別回収量の過年度比較


効果的な発生抑制対策

① 自然物

流木・灌木等は出水の影響が大きく台風や洪水、局地的な集中豪雨等の災害により、山から河川を通じて海に流出していると考えられる。そして、今後は地球温暖化の影響により自然災害の増加に比例して流木・灌木等の漂着ごみの増加が予想される。

また、人口減少により放置され管理の行き届かない山林が増加した場合はさらなる流木・灌木等の漂着ごみの増加が予測されるため、陸と海の一体となった政策が必要だと考える。

② 人工物

発生源が特定できるペットボトルは韓国と中国から大量に漂着している。この調査結果を韓国や中国の研究機関および環境団体と共有する必要性を感じる。さらに今年度の調査では国籍不明のものを多く確認した。

国内のペットボトル、金属製缶類のほか家庭ごみと判別されるごみも多く、依然として不適切な処理がなされていると考えられる。

国内においては、日本各地で行われているペットボトルの調査結果を国内の環境団体や研究機関と共有し、協力して海洋漂着ごみ対策を進めていくことが大切である。

③ 漁具

漁具で最も多いのは発泡スチロール類で、優先的に発泡スチロール類の回収を進めていく必要がある。また、あなご漁に使用する筒のふたが大量に漂着している。そのため、漁具が漂着ごみにならないよう抜本的な対策を考えることが大切であると思う。

漂着ごみの発生国

調査結果より自然物は島内、漁具・人工物は海外から多く漂着していることが分かる。発泡スチロール類やペットボトル等、比重の低いものは流されやすくまた、再漂流していく。

そのため、地理的に日本海の入り口に位置し、海流や季節風の影響で東アジアから大量に漂着ごみが流れ着く対馬で回収することこそが、日本全体の漂着ごみを減らすためには最善策である。

また、発泡スチロール類や漁業用ブイ等の漁具の多くは海外から漂着している。海外由来の漂着ごみについては、この対馬の現状を日本全国、そして世界に発信していくことが解決に向けての第一歩であると考える。まずは情報を共有し韓国や中国との協働を進めていきたい。

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