対馬の海岸環境の現状

In The Current Situation

西側の海岸に漂着ごみが多い

漂流ごみは海中に設置された漁網や漁具に被害を与えるほか、漁船のプロペラに絡まって航行不能となる危険や、船体が流木などの大型ごみと衝突することによって沈没などの危険もある迷惑なごみです。海底ごみは海底に生息する魚介類をはじめとする海洋生物が絡まったり、漁網や漁具への絡まりなどにより漁業への影響が懸念される厄介なごみです。漂着ごみは、漂流ごみが海岸に流れ着いたごみで、再度流れ出して漂流ごみとなる場合もあるほか、沈んで海底ごみになることもあります。この漂着ごみは、海岸の景観を悪化させるばかりではなく、海岸への堆積によって海岸に生息する動植物の生息・生育に影響を与えるほか、特にプラスチック類に含まれる有害物質により海岸自体が汚染されることが懸念されています。

この対馬暖流の流れや季節風などの影響によって、日本海の入り口付近に防波堤のように伸びる対馬の海岸には、東南アジアや台湾、更には黄海に接する中国と韓国から排出されたごみが多く漂着する、という現状があります。おそらく、対馬市は、日本沿岸の市町村うち、残念ながら最も漂着量の多い市の一つであると考えられます(環境省の「漂流・漂着ゴミに係る国内削減方策モデル調査総括検討会報告書(平成20年度)第1期モデル調査(7県11海岸)」を基に評価)。対馬市の海岸では、対馬暖流の流れが西側で強いこと、北東から南西寄りの風の頻度が高く*、特に冬季は西寄りの風が卓越することから、対馬の西側の海岸に多くのごみが漂着する傾向があります。

対馬市の漂着ごみについては、平成19年度(環境省による調査)と平成25年度(対馬市による調査)で、小型航空機より対馬のほとんどの海岸を空撮し、漂着ごみの分布状況を図化しています。その分布図を「漂着マップ」として、次図のように整理しています。

*:http://app10.infoc.nedo.go.jp/
Nedo_Webgis/index.html
を基に記載

環境省第1期モデル調査の「漂着マップ」
(平成19年8月時点)

「対馬市漂着マップ」全体図
(平成25年10月時点)

対馬市平成19年度と平成25年度の漂着マップを比べると、平成25年度のほうが漂着ごみの多い海岸(=図の赤い部分)が少なくなっているように見えます。平成25年度からは、環境省の海岸漂着物対策地域推進事業補助金を受け、海岸漂着物の回収事業が継続実施されています。
上記の漂着ごみの分布図のうち、平成25年度のデータについて、漂着ごみ量の多寡を示す3分類(漂着ごみ量が多い、中位、少ない)の海岸線延長割合を、漂着マップを作成したGIS(地理情報システム)ソフトにて算出しています。
その結果、次のように、漂着量が少ない海岸は対馬の全海岸延長の約8割で、それ以外の漂着ごみ量の「中位~多い」海岸の延長は約2割となっていました。
これは、"2割の海岸に8割のごみが存在する”という藤枝(2013)“の報告にも共通する数字となっており、対馬でも類似した現象になっていると考えられました。

藤枝繁(2013)海洋ごみ現存量の削減方策の提言.漂着物学会誌、第11巻:13-19.

「平成26年度 対馬市海岸漂着物地域対策推進事業 業務委託 報告書」より転記。

漂着ごみの量と種類など

漂着ごみの量と種類

対馬市は平成25・26年度に漂着ごみのモニタリング調査を実施し、年4回計6カ所(西側4カ所、東側2カ所)の海岸で、波打ち際沿い50mの海岸範囲にある1cm以上の漂着ごみを全て回収し、その組成の分析や測定を実施しています。その結果、平成25年11月から平成26年10月までの対馬市全体の年間漂着ごみ量を約17,900m3(約1.8万m3)、現存量*を約12,600m3(約1.3万m3)と推定しており、両者の差である約5,000m3(約0.5万m3)は潮汐や風・波浪などによって対馬の海岸から流れ出し、再度漂流したごみ量として捉えられています(*:H26年10月時点での漂着ごみ量)。このほか、平成22・23年度の地域グリーンニューディール基金による回収事業では、それぞれ13,375m3、9,098m3が回収されています(下記写真)。また、平成25年度からの回収事業では、毎年10,000袋程度が回収されています。

また、漂着ごみの種類については、容量としては木材類(人工系、自然系)が約4割、プラスチック類(ペットボトル、漁業用ブイを含む)が3割、発泡スチロール類が約2割となっており、これらで全体の約9割を占めていました。また、ペットボトルや漁業用ブイ、発泡スチロール類を含む全プラスチック類は、全体の5割を超えていました。平成25~29年度の回収事業の結果では、発泡スチロールが3割5分程度、木材・角材が3割程度、プラスチック類が2割程度、漁網・ロープ類が1割弱、その他が1割未満という組成になっています。この傾向は、この5年ほど、大きく変わっていません。

国の補助金によって回収された漂着ごみの一時保管場所

対馬市の海岸漂着ごみの代表例

●ブイ(発泡スチロール、プラスチック製) ●ポリタンク ●アナゴ漁用の筒とフタ ●漁網、ロープ類
●流木と木材(ガスボンベ) ●ペットボトル ●医療系廃棄物

漂着ごみの製造国割合

製造国を判別しやすい漂着ごみとしては、バーコードやラベルなどから調べることができるペットボトル、ライターなどが挙げられます。対馬市の平成25・26年度のモニタリング調査では、次図のように韓国や中国の製品が多くを占めていましたが、日本製のものも一定の割合を占めていました。特に、ライターについては、韓国製と同レベルである約2 割を占めており、対馬島内が発生源となっている可能性が考えられました。また、ペットボトルについても同様で、日本製が一定の割合を占めていました。

製造国を判別しやすい漂着ごみとしては、バーコードやラベルなどから調べることができるペットボトル、ライターなどが挙げられます。対馬市の平成25・26年度のモニタリング調査では、次図のように韓国や中国の製品が多くを占めていましたが、日本製のものも一定の割合を占めていました。特に、ライターについては、韓国製と同レベルである約2割を占めており、対馬島内が発生源となっている可能性が考えられました。また、ペットボトルについても同様で、日本製が一定の割合を占めていました。

漂着ごみのうち、ペットボトルの製造国割合

同、ライターの製造国割合

注:「平成26年度対馬市海岸漂着物対策推進事業業務委託報告書」より転記

危険なごみ

対馬市の海岸漂着ごみの中には、感染性廃棄物である医療系廃棄物や、過酸化水素水(H2O2)などの有害化学物質が残ったポリタンク、発火や爆発の危険性のある信号弾や発煙筒(船の事故などをしらせるためのもの)、ガラス瓶の破片などの危険なごみが紛れ込んでいます。

医療系廃棄物

対馬の海岸ではこれまでに、針の付いた注射器、注射液の残ったアンプル瓶やバイアル瓶、輸液点滴セットなどが確認されています。

ポリタンク

対馬の海岸では、ハングルが書かれている廃ポリタンクが多数見られ、H202(過酸化水素)、CH3COOH(酢酸)、HNO3(硝酸)などの表記がある場合もありますが、H2O2表記の廃ポリタンクから塩酸が検出された例があり、表記と内容物は必ずしも一致しない場合があります。いずれにせよ、内容物が不明な上に、危険性が高いので、中身が入っている場合は保健所や対馬市環境政策課に連絡してください。

発煙筒など

対馬の海岸には、船舶用の信号弾や発煙筒が流れ着いている場合があります。

割れたガラス瓶

海岸に層状に溜まっている漂着ごみの中には、割れて先のとがったガラス瓶などがありますので、海岸清掃時には十分な注意が必要です。

各種危険なゴミを見つけたら、こちらまでご連絡ください。

医療系廃棄物:保健所

ポリタンク:保健所もしくは、対馬市環境政策課

発煙筒:対馬市環境政策課

なお、これら危険なごみも含め、海岸清掃時の漂着ごみの分類・処理については、「長崎県海岸清掃マニュアル」や本HPにリンクしている「対馬市海岸清掃マニュアル」を参考としてください。

●長崎県海岸清掃マニュアル
https://www.pref.nagasaki.jp/shared/
uploads/2015/08/1440050061.pdf

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